星の王子様と同じ?(木星・土星・アルデバラン) 2000/12/03


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 読売新聞(2000年12月3日掲載)
 星座に深い知識のあったフランスの作家、サンテグジュベリの生誕から100年。
今年、木星、土星、おうし座の一等星アルデバランが接近して三角形をつくる。
60年に一度の天体ショーが冬の夜空を飾っている。
サンテグジュベリが著書「星の王子さま」(岩波書店)の表紙などに描いた絵は、
東の空に明るく輝くこの珍しい星の配置だったという説を、福島県三春町の文学研究家が発表した。

三つの星は、夜の8時から9時ごろにかけて真東の45度ぐらいの高さに見られる。
その配置と絵の一致に気づいたのは、宮沢賢治内村鑑三の研究者でもある椚山義次さん。
天文ファンでもあり、喫茶店を経営する傍ら、夜ごと星を眺め、スケッチをするうちに気づいた。
絵はサンテグジュベリ自ら描いた。一見、適当に描いたように見える星の絵だが、
他の星と区別するように、星形ではなく丸く描かれた三つの星の配置が、
11月初旬ごろの木星、土星、アルデバランの位置関係と一致したという。
椚山さんは、この解釈をまとめ、11月11日に福島大であった日本比較文学会東北・
北海道大会で「サン=テグジュペリ『星の王子さま』の謎を解く」として発表した。
研究者の間ではこれまで、この絵と天文とを関連づけた議論はほとんどなかったという。
今年と同じ木星、土星、アルデバランの三角形が前回見られたのは1940年。
サンテクジュペリが「星の王子さま」を描いたとされる1942、43年のすぐ前に当たる。
椚山さんは「サンテグジュペリは飛行機乗り。天文は基礎知識として持っていた。
事実、彼の著作の「夜間飛行」からは、天文の深い知識がうかがえる」と指摘。
3つの星の接近は知っていたはず、と見る。
福島県滝根町の「星の村天文台」台長の大野裕明さんによると、
木星、土星、アルデバランの接近は、来年4月ごろまで楽しむことができるという。
説の当否はともかく、この冬は星の王子さまに思いをめぐらせながら、
夜空を眺めてみてはいかが?

木星・土星・アルデバラン(おうし座)の位置
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