2001年10月のお話

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巨大な怪魚(インド)「やぎ座」
 中国の十二宮では、やぎ座を磨羯宮(まかつきゅう)と呼んで、磨羯魚の形とみています。 この伝説の魚については、大唐西域記(だいとうさいいきき)という本に、こんな話があえいます。  昔サックダ国に大商人がいて、神を信じていましたが、仏法は信じていませんでした。 ある時、多くの商人と共に、船で南海へ貿易にでかけました。 すると、強い風が吹き起って山のような波が船を流し、3年も大海をただよった果てに、 食料はつきて死をまつばかりとなってしまいました。 商人たちは一心に、それぞれ信ずる神の名をとなえはじめました。 しばらくすると、行くてに大きな山が現われ、高いがけや、けわしい峯がそびえ、 その空に2つの太陽がならんで、照りかがやいているのが見えました。 人々は、それを見て、安心して「この大山にとどまれば安楽を得るだろう」といいました。 しかし、大商人は、「あれは山ではない。磨羯魚というもので、あの高いがけや、けわしい峯は、 ひれや、たてがみであり、2つの太陽と見えるのは目の光だ」といいました。 その言葉が終るか終らぬうちに、帆は激しくはためき、船が転覆しそうになりました。
その時、大商人は、「観自在菩薩(かんじざいぼさつ)は、いろいろな危険から救って下さると聞いた。 みんな心をこめて、その名を唱えてみようではないか」といいました。 そして、一同声をそろえて、その仏の名を唱えてみたところ、たちまち高い山はかくれ、 2つの太陽もしずんで、けだかい僧が空の彼方からやって来ました。 そして、商人たちは命を助かり、ほどなく国へ帰ることができたそうです。
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