ポン太の天文ミニ知識
日本でも南十字星が見える(歳差とは)地球は完全な球ではなく、少し赤道部の方がふくらんでいます。 また、地球の自転軸は太陽に対して垂直でなく、 23.4度傾いています。 この傾きを直そうとして、太陽と月の引力が赤道部に作用します。 しかし、地球は自転しているので、この傾きは直らず、 自転軸が回転のおとろえたコマのように首振り運動をしているのです。 この現象を歳差(さいさ)といいます。 歳差は、紀元前2世紀にギリシアのヒッパルコスによって 発見されています。 この歳差のため、自転軸の延長上の天の北極は、 黄道の北極(黄極)を中心として、半径23.4度の円の上を 約2万6,000年の周期で移動しています。 現在、北極星は、こぐま座のα星ですが、 これは天の北極がこぐま座のα星のすぐそばにあるためです。 しかし、歳差によって天の北極はだんだん移動していきますから、 現在の北極星もあと1,000年もたてば、 北極星ではなくなってしまいます。 北極星とは、天の北極の近くにある明るい星のことをいいますので、 2,000年後にはケフェウス座のγ星、5,000年後はケフェウス座α星、 1万2,000年後には、こと座のα星ベガが北極星と呼ばれるようになります。 ところで、北極星と呼ばれる星が変わるということは、星空の回転の中心が変わるということで、 これに伴い、おもしろい現象が起こります。 現在、南十字星は、日本からは見えませんが(九州以南だと少し見えます)、 今から2,000年前には、日本でもちゃんと見えていたのです。 また、今後8,800年後にも見えるようになるのです。 それから、歳差によって春分点が毎年50秒ほど西へずれていきますので、 ベガが北極星になる1万2,000年後には167度も西へず れ、季節の星座は今と反対になってしまいます。 さそり座は冬の天頂近くに、オリオン座は夏の低いところに見えるようになるのです。