2000年6月のお話
星の花嫁(アメリカインディアン)「かんむり座」
かんむり座はその形から、アルファ(2等)をゲンマ(宝石)、または、マルガリータ・コロネー
(冠の真珠)と呼んでいます。
日本にも・かんむり座を平親王将門の侍女「ききょう姫」の首かざりが星になったものとみて、
「首かざり星」と呼んでいる地方があるそうです。
しかし、日本では、「たいこ星・くるま星・鬼のお釜と呼ぶ地方が多くあるようです。
中国では、これを貫索(かんさく)といい、牢屋の形と見ていました。
アラビアでは、アルフェッカ(かけ皿)でとよんでいます。
オーストラリアの原住民はこの半円形を、投げて鳥をとる曲り木、ブーメランと見て、その名で
呼んでいました。
アメリカ・インディアンの或る種族はこれを「天の姉妹」と呼んで、こんな伝説を語っています。
「白たか」という名の猟師が、或る日狩りに出かけたところが、いつの間にか広い草原に迷い込み、
そこには円い道がついていて、いくたびも後もどりをするので困っていました。
すると、空から大きな銀のかごを持った十二人の美しい娘がまい下おて来ました。
そして、かごが地面にふれると娘たちは円い道をめぐって踊りはじめました。
「白たか」は、その中の一番美しい娘をとらえようとしました。
すると、十二人は銀のかごの中にとびこみ、そのまま再び空へまい上がってしまいました。
あくる日、「白たか」は、うさぎに身をかえて、草地のところへ行ってみました。
娘たちはまた踊っていましたが、つかまえることができませんでした。
次ぎの日には、はつかねずみになって行って、ついに、目あての娘をつかまえて、家へつれ帰り、
花嫁にしました。
しかし、娘は空を恋しがって、或る日、「白たか」の留守の間に銀のかごを編み、魔法の歌をうたうと、
たちまち空へのぼって行きました。ほかの娘たちは並んで、かんむり座の星になっていますが、
この娘はそれに近い大きな星になって輝いています。
それが、うしかい座のアルファ(アークトゥルス)であるといいます。
なお、他の種族では、冠の形を酋長たちが会議している姿とみて、半円の中央の星は、火を焚い
て料理しているしもべであるといいます。