2000年3月のお話
いびつな家(韓国) 「おおくま座・北斗七星」
毎年春になると、北東の空高くに北斗七星がよく見えます。
世界的に見ても、この星の並びは大変よく目立つようで、沢山のお話があります。
さすがに熊なので、春になるとでてくる?そんな感じのする星座ですね。
今月は、韓国のある北斗七星の変わったお話をしましょう。
ある金持ちが、大工をやとって四角な家をたてさせました。
ところが、でき上がってみると、いびつに曲がっているので、金持ちの息子がひどく腹を立て、
斧で家を造った大工をなぐろうとしました。大工は斧で殴られてはたまりません。
大慌てで逃げ出しました。
金持ちの息子は、それを追いかけました。
金持ちは「まあまあ、待て、待て」と、息子のあとを追いかけました。
それが北斗七星で、いびつな家というのは、ますの四星が正方形でなく、少し開いているのをいい、
柄の三星が、大工、息子れ、金持ちの父親で、息子の持っている斧が、アルコルであるといいます。
この伝説で、ますの四星をいびつな家と見たのは、ひじょうに面白く見方です。
秋の夜見える「ペガサスの四辺形」を、東南アジア地方で「米倉」と見ているのと似ていますが、
たてそこねた家と見たのは、世界中の伝説でも、これ一つあるだけだそうです。
息子の持った斧に見立てられた、「アルコル」ですが、こんな有名な話があります。
アルコルは別名「サイダク」ともいいます。「目だめし」という意味で、アラビアで昔、
徴兵の目の検査に、この星を見させたためについたと云われています。
その頃は、主星とこの星との間隔がもっと近く、見にくかったのでそういう話ができたということです。
今では、普通の視力なら、楽に見わけがつきます。
とはいうものの、最近は空が明るいので、別の意味で見にくいかもしれません。
アラビアには、「月が目に入らないで、サイダクが目に入る」ということわざがあるそうです。
小さいことには気がつくが、だいじなことを見のがしがちなのを、戒める意味で使われています。
また、蒙古のハルハ族は北斗七星をドロン・ブルハン(七人の神)と呼び、
すばる(メチト)から星を一つ盗み、それがアルコルとなってので、光が弱いのだそうです。
蒙古の「盗人」は、これを神として祈ったそうです。(なんだか迷惑な話ですねぇ)