2000年2月のお話

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鹿にになった狩人(ギリシャ) 「こいぬ座・プロキオン」
 こいぬ座は、ふたご座の東南で、大犬座からは天の川を渡って東北に位置しています。 そのため、古代は水犬と呼ばれていました。アルファ(1等星)のギリシャ名であるプロキオンは 大犬座のアルファ(シリウス)より少し先きに昇るために、「犬の前に」という意味があり、 こいぬの名も大犬に対してつけられた名前にすぎないということです。 ベータ(三等星)と四度をへだてた形は、ふたご座の2星によく似ています。 中国でも後者を北河、前者を南河と呼んでいました。
 ギリシャ神話によると、この小犬は狩人「アクタイオン」を食い殺した、 狩り犬「メランボス」ということになっています。 アクタイオンは、農芸の神アリスタイオスの子で、馬人ケイローン(射手座)を師匠として、 狩の名人になりました。 ある日のこと、鹿狩りの帰りに、ひとり木の茂る谷間へ迷い込んでしまいまったところ、 ほら穴の前に何人かの女性たちいて、、その中の主と思われる女性は玉のような躰を 泉にひたそうと、精女たちに髪を結ばせていました。 彼女は、月と狩の女神アルテミスで、今日一日の狩りから帰って来たところでした。 アクタイオンが、こちらを見ていることに気がつき、精女たちは慌てて、アルテミスをとりまきました。 女神も急いで弓矢を取ろうとしましたが、近くにありませんでした。 そこで女神は、アクタイオンの顔に手で水をはねかけ、 「無礼者!、出ておいで。裸のアルテミスを見て来たと、話せるものなら話してみるがいい。」 といいました。 その言葉が終わるか終わらないうちに、見る見るアクタイオンのひたいから、鹿の角がのび、 耳がとがり、首が長くなり、手足は四つ足と変わり、全身に手がほえてきました。 その姿を見ると、今までついてきていた狩り犬が、一斉に襲いかかって、彼を噛み裂いてしまいました。 こいぬ座は、その1匹の猛犬「メランボス」であるといわれています。  他の神話では、この犬は、アテネの王イカリオスの忠大「メーラ」であるともいわれています。 イカリオスは酒神バッカスから教えられた方法で美酒をつくりました。 農民たちはそれを飲んで、おおいに酔ったのを「毒を飲まされた」と信じて王を殺してしまいました。 メーラはあるじの埋められたところを探しだして、王女エーリゴネーに知らせました。 そして王女が悲しみのあまり死ぬと、自分もそこを去らず死んでしまったと伝えられています。 星の画図では、大犬座が猛犬にえがいてあるのに対し、こいぬ座は、よく馴らされたおとなしい 番犬になっているのに気がつかれることでしょう。 古代ローマでは、カテルス(犬ころ)と呼んでいました。  こいぬ座の一等星、 プロキオンはシリウスとくらべると、やや黄みをおぴた青い星で、 光度0.5等、距離約10光年でです。そしてシリウス、ベテルギュース(オリオン座)と共に、 一辺約24度の雄大な正三角形を描き、冬の夜の名所となっています。 ナイル川の増水をシリウスの出で知った古代エジプトの民は、まずプロキオンの昇るのをみて、 その第一の予報としていたようです。 べー夕は、アラビアでゴメイザといます。「涙ぐんでいる目」の意味で、 その光の印象からきています。
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