1999年12月のお話

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イウタニ 6人姉妹と3人兄弟(アイヌ) 「プレアデス・オリオン」
 これは蝦夷方言藻汐草に出ている名で、イ(それを)ウタ(搗く)ニ(木)という意味だといことです。 すなわち、三つ星のたて一文字を杵の形と見たものです。
この名に直接関係はありませんが、アイヌのひと達の間にも、 アルワン・ノチウ(すばる)のなまけ娘たちにイウタニを配した追いかけ伝説があります。 昔、六人の娘がいました。そろいもそろって怠け者で、朝から晩までころころ寝てばかりいました。 その隣りの三人の若者は、これはそろって働き者で、朝から晩まで仕事に励んでいました。 三人は、六人の女たちが何もせずにいるのを見て、 「どうだね、少しは働いてみては。そんなに遊んでいると、からだの毒になるだろう」と忠告しました。 すると、六人はかえって口をとがらして、 「いらぬお世話だ、働くなんて気のきかぬ骨頂だよ」と、憎まれ口をたたきました。 これには三人の若者も腹をたてて、六人の娘をつかまえ、こらしめようとしたので、 娘たちはおどろいて、いちもくさんに逃げ出しました。 そして、若者たちはどこまでも追いかけました。 娘たちはついに逃げ場がなくなって、船に乗って空へ逃げ昇りました。 三人も船で追いかけましたが、六人は十二本の手で船を漕ぐので追いつくことができず、 あきらめようとしたところ、この様子を見ていた天の神さまは、 いきなり娘たちの船の前に立ちふさがって、 「こら、なまけ者ども、止まれ!」といわれました。 たちまち船は止まってしました。神さまはさらに、 「お前たちは心がけの悪い者だから、世のいましめに、いつまでもそこを動くまい」といわれました。 すると、見る見る六人の娘たちは六つの星(アルワン・ノチウ)に変ってしまいました。 それから神さまは、三人の若者に 「お前たちはよく働いて感心である。世の人たちの手本になるよう、星にしてとらそう」といわれました。 それで三人は三つの美しい星(イウタニ)になりました。 この伝説も、「すばる」がかすんで見え、三つ星のあざやかである印象から、 なまけ者と働き者に対照させたものとも考えられます。 なお、原名はまだ不明ですが、三つ星をわし捕り星の意味で呼ぶところもあるそうです。 これは冬になると、川辺に秣(まつ)小屋を造り、雪を乗せてかくし、川から捕った魚を 小屋の前にまきちらしておいて、わしを引き寄せ、わなで生けどりにします。 この季節を三つ星によって知るので、この名があるといいます。
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