1999年9月のお話
夜空の水まき男(エジプト)「水瓶座・ガニメデ」
黄道第11番目の星座で、「やぎ座」と「わし座」の東に位置しています。
水がめをかついでいる人の姿で、4つの4等星が三ツ矢の形をえがくのが目印です。
これが水瓶で、そこから南へ星の点々がつづくのを水の流れと考えます。
古代バビロニアの彫刻にも、肩の水がめをかたむけて水をそそいでいる人物が描かれています。
これは太陽が、その地方の雨季の間この星座を過ぎるためであったといわれています。
エジプトでも、この星座は冬の雨季を表わし、ナイル川の増水は、この水汲み男が
大がめを水源に投げ込むために起ると信じていたということです。
古代人は、この部分を天上の海と見て、水瓶を初め、海やぎ・魚・南の魚・
くじらなどの星座を作りました。
いて座にヌンキ(海のしるし)という星があるのも、
これより東側が海であるという意味からきているということです。
ギリシャ神話では、この水がめをかついでいる人物を、美少年ガニメデとしています。
オリンポスの神々の宴会では、大神ゼウスと后へーラの娘ヘーベが、お酌をする役でしたが、
或る日不注意でころんでしたったため、それができなくなり、代わりの者が必要になりました。
ガニメーは、トロヤの王子で、体が金色に輝き、美少年の名が高い王子だったようです。
大神ゼウスはこれに目をつけて鷲に姿を変え、ガニメデがイーダ山で父の羊を番していたところへ下り、
空へつかみ上げて、オリンポスの神山へ連れ去ったと伝えられています。
他の神話では、ゼウス自身が大地へ水をそそいでいる姿とも伝えられています。
木星(ジュピター、ゼウス)の第2衛星のひとつにガニメデというのがありますが、
この神話にちなんで名づけたものだということです。
アラビア地方では、この星座をロバが2つの水桶を運んでいる形とみたり、
また、水瓶の形をテントと呼んだりしていたそうです。
さらに、中国では三ツ矢の星を三角に結んで、墳墓と呼んでいました。