1999年7月のお話

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織女の約束(中国)「こと座・ヴェガ」
 むか〜し昔の中国でのお話です・・・・・・。  唐の名臣郭子儀(かくしぎ)という人が、まだ銀川の田舎にいた時、 ある夜、宿にすわっていると、にわかに身のまわりに紅いろの光がさしてきました。 驚いて空を見上げると、立派な車が通るところで、ぬいとりの幕がかかっていて、 美しい天女が一人、しょうぎに腰かけて、足をたれ、下界をながめていました。 郭子儀は、その日が7月7日であるのを思い出して、これは織女にそういないと思ったので、 うやうやしく礼拝して、長寿と富貴を授けたまえと祈りました。 すると、織女はにこやかに笑って、「富貴は思いのままで、長生きもするであろう」といい、 しだいに天へ昇って、姿は消えてしまいました。 それから郭子儀は粛宗に仕えて賊を討ち、手柄を立てて、ずんずん出世していきました。 大暦(中国の年号?)の初めの頃に、戦いに行っていて重病にかかり、 従者たちが心配すると、「いや、命のことなら大丈夫だ。実はこんなことがある」と云って、 織女が長寿を約束してくれたことを話しました。 それで人々は安心しました。、しばらくすると病は治って、85歳まで長生きしました。 宮廷に仕えてから30年に近く、倉には金銀や宝を山のように積み上げ、家人3000人、 8人の子と7人のむこは、みな重い役につき、孫も5〜60人、見舞いに来ても、 その名がわからずに、うなずいてばかりいたそうです。 これも織女の祝福と伝えられています。
また、こんなお話もあります。 後漢の時代に董永という若者がありました。家が貧しいので、人に雇われて父を養っていました。 やがて父が死んでしまいましたが、お葬式を出すお金がないので、村の金持ちに身を売って、 銭5000(中国のお金の単位)を借りて、それで、お葬式をすませました。 その帰りに、永は、一人の美しい娘と道連れになりました。 やさしく話しかけてくれるので、永はたのもしく思い、妻になってもらいました。 そして、主人の家に連れ帰ると、主人は、「このひとはどんな仕事ができるか」と尋ねました。 永が、「機を織るのがうまいそうです」と答えると、 「では絹300疋を織ってもらおう。そうすれば、お前はもう奉公してくれなくてもいい」 といいました。 それから永の妻はせっせと機を織って、1ヶ月で300疋の絹を織り上げました。 そして、主人の家の門を出ると、永に 「わたくしは天の織女です。あなたが親孝行なのを、天帝が感心なさって、 わたしにいいつけて、あなたの身売りの金をつぐなわせたのです」 というなり、見る見る空へ昇って行って、姿は消えてしまいました。  物語はここで終わっていて、その後どうなったかは、はっきりとはしていません。 まじめにやっていれば、いいことがあるかもしれない・・・というお話でしょう。
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