1999年2月のお話

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巨人の目(ふたご座)
 星占いにもよく登場するこの星座は、ギリシャ神話の仲のよい兄弟としての物語でも有名です。 しかし、どちらかというと星座の形よりも、この星座の2つの1等星が、この星座を有名にしています。 今月はこの2つの1等星のお話でも・・・・。 この2星が、空にならんだ2つの目とみられることも、すこぶる自然で、 日本では、「かにの目」「一猫の目」、特には、「眼鏡ぼし」と呼んでいる 地方もある。外国にもゲルマン民族の間には「巨人の目」の名があり、次のような神話を伝えている。
 昔、ダーゼといつ巨人があった。いつも大わしの形になっては人間の国へとんで来て、目につ いたものを、するどい爪でつかみ去った。 ある時もとんで来てみると、三人の神が木の下で火を焚いて、殺したばかりの牛を煮ようとしていた。 ダーゼは木の枝にとまってそれら見ていたが、なべに向かって呪文をとなえた。 すると、火はさかんに燃えても、水はいつまでたっても湯にならない。 三人の神は長い旅をして来たあとで、腹がすいているのに、これでは食事がでさるのは いつのことかわからないので、困ってしまった。 そこで、木の上の大わしが「水をわき立たせてやったら、何をくれるね」と声をかけた。 神々は「肉を分けてやろう」と答えた。ダーゼが、魔法を解くこ、忽ち水はわきはじめた。 やがて肉が煮えて、神の一人ロケが鍋を下ろし、ふたを取った。 わしはサッと飛び下りて、肉の一番ある牛の前半身をつかみ上げた。 神々には、ただ牛の頭とあばら骨しか残らなかったので、ロケは太い棒をつかんでとび上がり 大わしの背中をなぐった。 しかし、ダーゼが呪文をとなえると、棒は背中にくっつき、ロケの両手も棒にくっついてしまった。 そして、ロケを大地に引きずりながらとんだので、足が石にぶつかったり、 身体がやぶで、かさ裂かれたりした。ロケは助けを呼んだが、ダーゼは放そうとはせずに、 もし「若がえりのりんご」を持って来ると約束すれば許してやろうといった。 これは神々がいつも食べて、若さと強さを保つている大切なりんごだった。 ロケは仕方なく、いろいろの冒険をやった後に、りんごの実を守っている女神イドウィンを さらって来て、ダーゼに渡した。 しかし、他の神々はひどく怒って、女神とりんごを取りもどして来なければ、ロケを死刑にするといった。 それでロケは鳥に姿をかえてダーゼの住家へとんで行った。 巨人は釣りに出たた留守だった。 ロケは女神とりんごをつめにつかんでとび立った。 しかし、遠くもわかない中に、ダーゼは帰って来て、それと気つくと、 すぐ大わしの姿となって矢のようにとび、神の市の近くでロケに追いついた。 神々は石垣に出て、ロケの帰るのを待っていたが、 それを見ると、枯枝を連んで来て、石垣の上に積んだ。 そして、ロケがとび下りるなり、それに火を放った。 巨人は勢い透まって火の中へとびこんでしまい、つばさが焼けて、大地へ墜ちた。 そして神々に殺されてしまった。 巨人には美しい娘があって、神の一人と結婚するはずになっていたので、父の死をひどく悲んだ。 それで、神々はその父の目を空にかけた。今も「巨人の目」と呼ばれて、かがやいている2つの星である。
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