1999年1月のお話

StarStoryへ
親孝行星(オリオン座 三つ星)インドのお話
  すっかり冬らしくなっちゃったから、今月はオリオン座の三つ星のお話でもしましょう。  オリオン座の三つ星は、オリオンの腰のあたりにある、きれいに並んだ三つの星の事です。   ビルマのジヤングル地方では、今でも三つ星をフミャー(矢)と呼んだり、  バンギ(天びん捧)といっています。  そしてインドでは、こんな伝説があります。   昔、印度にダッシェルタという王様があって、宮殿のそばに溜め池をはらせました。  ところが、池開きの式をやらない前に、ひとりの若者が、  天ぴん棒で水がめをかついでやって来て、水をくんでしまいました。  それを見つけた王様は、腹たちまぎれに矢でその男を射ころしてしまいました。  それから調べてみると、その若者はサンワンといって、  かねてから大評判の、孝行息子でした。  両親は目が不自由で、サンワンはいつも籠に乗せてかついであるき、  この日も、両親が喉が乾いて水を飲みたいと頼んだので、  何も知らずに、その溜め池の水をくんだことが解りました。  王様は大変に後悔して、自分で水がめをサンワンの両親のところへ運んで、  深くおわびしました。  そして三つ星は、サンワンの天びん棒が空に昇ったものと伝えられています。
  これで面白いのは、日本でも、三つ星を親孝行の息子が、病いのふた親をかついでいる姿と見て、  「親かつき星」「親孝行星」「天秤棒星」等と呼んでいることです。  南のこの伝説と、何か深い関係があると思えます。  さそり座の三星や、わし座の三星もよく似ていることから、同じ様な呼び方をする地方もあるそうです。   また、三つ星を「杖」と見た南フランスの伝説があります。  ある夜、ジャン・ミラン星(シリウスで、人名から〉と、三つ星と、  ひよっこのかご星(プレアデス)とは友だちの結婚に招かれました。  ひょっこのかご星は、まっ先に出かけて空の高い道を行き、  三つ星は低いところを近道して、ひょっこのかご星に追いつきました。  しかし、朝寝ぽうのジャン星は一番遅れたので、腹立ちまぎれに杖を投げつけました。  それで、三つ星のことを「ジャン・ミランの杖」とも云っているようです。  その他、三つ星を、羊飼いの杖や、剣や、はかりざおと見たり、三人の神や、王や、狩人、  男女と見て、いろいろの神話や伝説が語り継がれています。  どの話も、三つ星がひじょうに目を引きやすく、そして、すばる星と同に、  農作の季節を知るに大切な星の集まりだったためでしょう。  中国では、今でも毎年正月8日に参(三つ星)を見て、  上元節(1月15日)の天気うらないをしたり、  また、その夜、月が三つ星のうしろにあれば年内に大水が起こり、  月の前にあれば大ひでりがある、というような話も残っています。   しかし、三つ星に祈ると、おねしょの子どもが治るというのは、どうい訳なんでしょう?
M42 オリオン座大星雲 オリオン座にある散光星雲で、肉眼でもその存在は確認できます。 望遠鏡などで観察すると、 大きくマントを広げた「黄金バット」を連想させてくれます。
StarStoryへ