1998年5月のお話古代エジプト・ペレニケ王妃の愛(かみのけ座)春でもなく、夏でもない5月6月という時期は星の話を探すのがとても難しい気がします。 春の星座では遅すぎますし、夏の星座では早すぎます。 という事で今回は何の脈略もなく 「髪の毛座」にまつわる古代エジプトでのお話・・・。 古代エジプト王妃ペレニケは大変美しい髪の毛の持ち主でその評判は近隣諸国にとどろいていました。 ある時、エジプトと強国アッシリアの間で戦争が起こり、若い国王は先頭に立って出陣していきました。 戦場の国王のことを思うと、王妃は心配で心配で夜も眠れませんでした。 そんなある日、戦場からの使者が戻り、戦場での様子をつぶさに報告しましたが、 それはエジプト軍が敵軍に負け、王は敵に捕らえられたという恐ろしいものでした。 驚いた王妃は、女神イシスの神殿に駆け込みました。 「イシスの神よ、どうか、私の願いをお聞き届けください。王と我がエジプト軍をお助けください。 もし、私の願いを聞き届けてくださいますなら、女神のために何でもいたします。」 神殿にこもって祈り続ける王妃の前にイシスが姿を現しました。 「おまえの願い聞き届けよう。エジプト軍は勝利を得、国王は無事に戻って来るであろう。 その時、お前は命より大切な、その髪を私に捧げよ」 やがて、エジプト軍の勝利と王が凱旋してくるとの知らせが王妃のもとへ届き、 王妃は約束通り髪を切って、イシスに捧げました。 戦から帰ってきた王は、自慢の妃の髪がばっさり切られているのをみて烈火のごとく怒りましたが、 大臣たちから訳を聞き、王妃の愛に心打たれました。 その時、天文学者が飛んで来て、空に新しい星座が輝きはじめたと告げました。 それは、イシスがペレニケの心に感動し、彼女の髪の毛を星座にして上げたものでした。何かの本で、神様というのは感性が非常に人間に近いというのを読んだ事があります。 「お前のために何かをするから、お前も私のために、何かをしなさい」なんていうのは、 「ギブ&テイク」の発想だといえるでしょう。いかにも人間臭さが感じられます。 おおむね神様が登場する物語には「願いがかなうから何かをする」とか「何かをするから願いがかなう」 というようなものが多いように思います。生贄であるとか人柱であるといったものは、 その最たるものでしょう。 何しろ命がかかっていますから。ただこういった事が儀式化してしまうと話がややこしくなります。 生贄や人柱にされた人の思いは何処に行くのでしょうか? はじめの頃はそれでも「自分が犠牲になることで、みんなが助かるのなら」という思いも あったでしょうが、ただ単に儀式として命が奪われるというのは如何なものかと思います。 この話は愛する人の無事を祈り、自分の一番大切にしている髪を神に捧げてしまうという一種の 美談に仕上がっていますが、神様に願いをかなえてもらうためには、それなりの見返りが必要だと いう事を教えているのではないでしょうか? 皆さんも神社などにお参りする時に、いろいろ願い事をしていると思いますが、 願いがかなった時はそれ相応のお礼を覚悟しておかなければいけませんよ。 でないと神様から倍返し・・なんて事になるかもしれません。 神社などにお参りした時は「お願い」をするのではなくて、「今日までの無事を感謝」を してみては如何でしょうか。さしあたり来年の初詣に出かけた時に、「○○ができますように」 とか「○○になりますように」ではなくて、「去年は1年間無事に過ごせました。 ありがとうございます」というような「お礼の初詣」にしてみたらどうでしょう。 身勝手なお願いばかりする人間界にあきれている神様も「おやっ」と思われるかもしれませんよ。 日本の神社(特に田舎に行くとよくあるある鎮守の宮)というのは五穀豊穣を祈ってというより、 それを感謝して建立されたものが多いように思えます。 「秋祭り」というのがそのよい例だと思いますが・・・。 お百姓さんが一生懸命に作物の世話をするから豊作になるのですが、それを当たり前とせずに、 「あぁ神様のお護りがあるから、こんなに豊作になったんだ」と感謝の気持ちにかえる。 そんな気持ちの切換(感謝する心)が、現代人にとって大切な事ではないでしょうか。 自分の仕事に一生懸命取り組むというのは、最終的には損得勘定を離れてしまっていると思います。 「これをやると得するから」という気持ちで、人は一生懸命に仕事をするのでしょうか? きっと「こうすればあの人(会社)に喜んでもらえる」と思って仕事をするんだと思います。 損得勘定が働いている「一生懸命」というのは他人からみるとと一見「一生懸命」に見えますが、 行動している自身にとってはどうでしょうか? 果たして本当に一生懸命やったと心から思えるでしょうか? 自分は10の能力があるから10の事をするのはは一生懸命といいません。 10の能力があるなら15の事をしようとして11できた時を「一生懸命にした」というのでは ないでしょうか。 何はともあれ、古代エジプトのペレニケ王妃の髪の毛はさぞや美しかったのでしょう。 そしてその持ち主である王妃もたぶん美しかった事でしょう。 今夜はそんな美人を想像しながら、乙女座・牛飼い座・かみのけ座あたりの星雲星団を 散歩してみませんか? もしかしたら乙女座がウインクしてくれるかもしれませんよ・・・・・。 誰です。 「牛飼いにひかれて、乙女宮参り」なんて事を言っているのは・・・・・。![]()